拾ったワンコが王子を連れて来た

終わらないお説教に、二日酔いの症状である、吐き気や頭痛が酷くなるばかりで、ブチ切れ寸前の私。

「今後、俺が居ない時は、二度と外で酒飲むなよ!?」

何様!?
俺が居ない時?
まるで私の側に居るみたいな言い方じゃ無い?
私(ひと)にプロポーズしておきながら、他の女とイチャイチャしておいて、私が何も知らないって思ってるんだ?
やっぱり、男なんてみんな一緒なんだ。
父の様に男は全てクズよ!

この場をなんとか逃れ離れたいと思っていた時、玄関のチャイムが鳴った。
生田さんが出ようとしたのを、ここは私の家だと言って、インターホンに出ると、来客者は律子さんだった。

なんで…
なんで律子さんが家を知ってるの?
もしかして、私の居ない時に生田さんが…?
いくらなんでも、そんなの酷くない?

生田さんは居候で、ここは私の家だよ?
私の留守に連れ込んでたなんて…
信じられない!!
どう言う神経してるのよ!?

玄関のドアを開けると、そこには私の知ってる散歩時のスポーティーなウェアーと違って、女性らしく綺麗に着飾った、律子さんが立っていた。

彼女は、にっこり笑って “ おはよう ” と挨拶する。そんな律子さんに、私は何しに来たのかと不機嫌な顔を見せる。

「あら、二日酔い?」と律子さんは薄ら笑いを浮かべる。

「どうぞ?
生田さんなら、奥に居ますから?」

家になど入れたくない筈なのに、ご丁寧にスリッパまで出してあげる自分が哀れに思う。




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