拾ったワンコが王子を連れて来た
「稀一郎さんのお姉さんの希美子さんと私は、大学時代の先輩後輩の仲で、希美子さんには学生時代から良く可愛がってもらったわ。
3年ほど前、偶然街で希美子さんに再会して、稀一郎さんを紹介してもらう事になって、それで私達、2年前にお見合いしたのよね?」
まるで生田さんに同意を求めるかの様に、律子さんは生田さんを見て話した。
「家族はみんな喜んでくれたんだけど、旅館を継ぐ筈の稀一郎さんが、まだ、今の仕事は辞められないって言うもんだから、結婚は先送りにしていたのよ?
でも、あなたと同棲始めちゃったでしょう?
私の両親も、話が違うって怒っちゃうし、私もどうなるのか心配になったのよ?」
2年も前から…?
二人は知り合いだった…
私が律子さんに会ったのは…もしかして偶然じゃ無かったって事?
「早くどうにかしないと、旅館があなたのモノになってしまうって私も焦ったわ」
私のモノに…旅館が?
生田さんじゃなくて?
「あなたの事を弟に話したら、あなたの事知ってるって言うし、あなたの事、気に入ってるみたいだったから、ちょっと弟に手伝って貰う事にしたのよ?
弟とあなたがくっつけば、稀一郎さんは私を選ぶしかないと思って」
生田さんを自分のモノにする為に、自分の弟を私へ仕向けた?
嘘でしょう…