拾ったワンコが王子を連れて来た

余程緊張していた様で、律子さんが玄関を出た途端、体から力が抜け、私はその場にへたり込んでしまった。

「おい、真美大丈夫か?」

「う…うん。大丈夫。でも、緊張した…」

生田さんは、私を抱き抱え「カッコ良かったよ!」と笑った。

カッコ良いだなんて…
私はただ必死だっただけ。
生田さんを手放したくなくて、震える足で踏ん張り、律子さんに伝えただけ。
ゼネラルマネージャーに、言われた通りに話しただけだ。
ただそこには、私の想いを込めなさいとも言われた。

「律子さんがあんなに怯えて、ゼネラルマネージャーの力って凄いですよね?」

「斗真が凄いんじゃなくて、ホフマン・一族が凄いんだよ?」

ホフマン・一族…?






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