限りある命と限りのない願い。
 それからは陽多の母親の手伝いをしたり、陽多に勉強を教えたりして過ごした。

 母親が買ってくれたノートももうすぐで埋まる。

 いっぱい遊んだ。

 陽多と昔の友人達とも。

 楽しかった、嬉しかった。

 だからこそ限界を超えていることに気が付かなかった。

 僕は皆と遊んでいる途中で倒れてしまった。

 遠くの方で陽多が僕を呼んでいる声が聞こえた。

 けれど、意識はそこでなくなった。

 気が付けば機械の音が聞こえてきた。

 陽多と陽多の両親の話し声も。

 陽多の声が荒い。

 僕の所為で喧嘩させちゃったかな。

 意識が戻ってきてゆっくりと目を開ける。

 それにいち早く気が付いたのは陽多だった。

 「楓奏、何で黙ってた」

 全部、聞いたのかな。

 僕はそんな辛そうな顔を君にさせたかったわけじゃないよ。
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