限りある命と限りのない願い。
 「さて、寝起きで悪いが話してもらえるか?どうして隠していたのか」

 「うん。もちろん」

 僕は包み隠さず話した。

 「心配、かけたくなかったんだ。それに気を遣うかなって思って」

 「誰が?」

 僕は陽多を指さす。

 「俺が?」

 「うん。遊んでくれなくなるかなって。だって楽しかったから、陽多と話すのも遊ぶのも」

 それは本当。

 ものすごく楽しかった。

 「体の事気遣って遊ぶのも話すのも中断させられるかなって。…本当はね、ここにも陽多に会うために来たから」

 「俺に会うため?」

 「うん。会えなかったら会えなかったらで本当に帰ろうとしてた。最期だって感じたから」

 最後は一番楽しかった思い出を思い出したかったから。
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