限りある命と限りのない願い。
 「やっぱり最後はここかなって」

 僕は机の上に置いてあるノートを手に取る。

 「昔からの事、今の事全部日記に書いてた。後ろからは僕の願い事を書いた。向こうに引っ越した時なかなか友達出来なくて、陽多からの手紙が嬉しかった。けれど徐々に回数が減って遂には届かなくなった。それからはつまらない世界で生きてた。何もない本当に、日記を見たらそれが分かった。余命宣告受けてから生きるのが楽しくなった」

 もっと生きたいと思えるくらいに。

 「ああ、世界ってこんなにも色んな色をしてたのかって。昔のように輝いてた」

 ペラペラと数枚ページを捲ってノートを陽多に渡す。

 見て欲しいから。

 「僕ね、色んな事やったよ。そのどれもが楽しかった。本当は安静にしなきゃいけないのも分かってる。それでも僕は…」

 楽しいことをして生きていたい。
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