今世こそは君を守るから、だから俺の傍にいて
相手は財閥の令嬢。そのお見合い会場なのだから豪華じゃないわけが無い。

門をくぐれば広いエントランスに付けられた豪華なシャンデリア。その光は白ではなく淡い黄色で温かみを放っている。

逆に奥に見える階段は白色の大理石でツルツルしていそうだ。


「とても綺麗ね…」

母親がポツリと呟く声に全力で同意する。

「高そうだよね」

出てくる言葉が親子揃って庶民だが仕方がないだろう。


「それではこちらへどうぞ」

受付が終わったのだろう、コンシェルジュさんに案内されながら着いていけば、目の前にあるのはホテルのラウンジだ。


「ひぇー……」


そこにはもう、人が揃っていた。奥の方にいるから見えないけれど1人は男の人。もう1人は、女の子。

ああ、あの人俺の婚約相手の陽芽|《はるが》……さんだったっけ?

近寄ってくる人達に歩み寄るように父さんを前にして母さんと俺も進んでいく。


「お待たせしてしまい、申し訳ありません。私が藤原樹詩の父である藤原 明です。こちらは妻の茜。」

「いいえ、こちらこそ。ご足労頂きありがとうございます。申し遅れました、私は氷室陽芽の父である氷室 桜我と申します。以後よろしくお願いします。」


目の前にいるのは細身の紳士のような人。髪の毛は茶色でそれがオールバックに整えられている。日本人のように見えるのに……瞳は、青色?
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