私を繋ぐ優しい手錠

神代くんに連れられて、学校から抜け出す。
学校を抜けるなんてことは初めてで、もし親にバレたらどうなるんだろうと、少しだけ不安になった。
だけど、そんなことよりも、神代くんの言葉で心が楽になった。

たった一言の、“言わせておけばいい”。
どんな意味を含んでいたのかは分からない。だけど、周りに縛られる必要は無いんだと思った。




「ごめん、散らかってるかも」
神代くんの家は、私の家よりも少し奥の方で昼まで誰もいないからかいつもの事なのか、閑静な住宅街だった。そして、とても綺麗な家だった。

「…誰もいないの?」
「ばあちゃんと住んでたけど、今入院してるから」
「そっか」
親と住んでいないんだ。
どこか、ほっとする自分に嫌気がさした。

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