私を繋ぐ優しい手錠

「来栖さんなんか飲む?」
水筒とか全部学校だし、と。
「あ、そっか…。置いてきちゃった」
「いいよ、俺もだし。多分由里が持ってくるから」
そう言って冷蔵庫から珈琲牛乳とイチゴオレを取り出す。

「どっち飲みたい?」
「え、……おすすめの方で」
「んー、じゃあ、珈琲牛乳かな。この会社のやつ苦いけど美味しいんだよね」
そしてコップに注ぐ。
コポコポと、心地の良い音が流れる。






「来栖さんって綺麗な髪だよね」
「…突然何」
「そんな訝しげに見ないでよ、ずっと思ってたんだよね。その色綺麗だなって」
「…ありがとう」
視線を落として髪に目をやる。
綺麗だなんて言われたこと無かった。
両親も妹も真っ黒で自分だけ隔離されたようなこの色が好ましくなかった。だけど、優しかった祖母と同じ色でとても嬉しかった記憶がある。




「あのさ、なんで、妹と仲悪いの?」

神代くんはゆっくりと、だけど、私の方をしっかりと見て尋ねた。

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