私を繋ぐ優しい手錠
「ひぃお姉ちゃん!」
「おねーちゃん!!」
「お姉ちゃん、大好き!!」
彩葉は私と違って感情表現がとても上手だった。
「ねぇ、お姉ちゃん」
私の部屋に入ってきた彩葉。
彩葉は中学に入ったばっか。そして私は受験生だった。
「どうしたの?大丈夫?」
いつもとは違う声音で、俯いている妹の異変に気づき部屋に招き入れる。
「お姉ちゃんって、私のこと好きだよね?」
「もちろん。それがどうかしたの?」
「好きだったら、私のこと、裏切らないよね?」
「え?突然どうしたの?」
「どうなの!!!」
聞いたことの無い大声でびくりと肩を震わせる。
ねぇ、と。
「私は今までもこれからも裏切ったことは無いし裏切らないよ、だから、」
「嘘つき」
「え、」
「私の好きな人が、お姉ちゃんのこと好きだって」
そう告げた彩葉の声は震えていた。
それは、悲しみからか、怒りからか。
どちらかは分からない。
だけど、“しまった”。“また”やってしまった。
そう思った。