私を繋ぐ優しい手錠

私の妹は感情表現がとても上手だ。
そう、とても。
だから、嬉しいや、悲しい以外にも、怒りの感情もよく顕にした。

昔から体が弱かった私についてばかりの親。それに嫉妬した幼い彩葉は私が寝ている間に自身のお気に入りの靴をボロボロにして私の部屋に置き、親に泣きつくことがあった。他にも、遊びに行こうとすると嫌がらせをする、お土産を受け取ってくれない、と言う。そうして、親の気を引いた。いつしか私は家族の中で一線を引かれることとなった。
それでも、機嫌のいい彩葉はとても可愛らしく、怒りに任せて好き勝手やる時とは比べ物にならない愛らしかった。





「ねぇ、彼に何したの?どうやって近づいたの?私が彼のこと好きって知ってたくせに!!!」
「いろ、は…?」
「もういいや、………もういらないよ、お姉ちゃん。ずっといらなかった、顔は可愛いからいつか使えると思ったけど」
「え、」
「ずっと嫌いだったのよ、ずっと。ずっとね。そのすました態度が、全部私のせいですみたいな顔が、心の奥を覗くような目が、…………本当にムカつく」
そしてポケットからカッターナイフを取り出し切りつけた。




「もう、終わりだね」






鮮血が滴り落ちる。
苦痛に顔をゆがめる。
小さく笑い声が聞こえる。
そして、次の瞬間悲鳴をあげる。




彩葉の腕から血が出ていた。
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