私を繋ぐ優しい手錠
家族
1
朝、目が覚める。また覚めてしまったのかと、辛くなる。
何度も何度も、ループする毎日。
「おはよう、お母さん」
母からの返事はない。父も私に目を向けない。目を向けているのは唯一妹の彩葉だけ。しかしその目は、私を嘲るかのように細められ、口元は笑いを堪えるかのように歪んでいる。
机を見れば、彩葉の弁当はあっても私の弁当はない。いつもの事だ。もう見放されたんだから。弁当もなければ当然朝食も夕食もない。何も無い。毎朝実感する。
ここには私の居場所はない、と。