私を繋ぐ優しい手錠
「もしもし」
『あ、お姉ちゃん?ねぇ、だれ。神代くんって人』
「…同級生」
『へぇ……嘘だね。あの人は、彼氏って言ってたけど。ねぇ、今どんな気持ちなの?また私を裏切るの?お姉ちゃん』
また、という言葉が頭の中で反響する。
私は裏切ったことなんてない。
そう言いたかったが、それを言ったところで何も変わらない。
「ごめん」
『…そのいつも淡々とした態度ムカつくんだよね。もういいや、お父さん達に言っておくね。お姉ちゃんに暴言吐かれた、傷ついた、って』
いつもそうだ。根も葉もないことを親に言って同情を貰う。私よりも可愛く甘え上手だった妹の方ばかり可愛がっていて親はそれを知り私を無いものとして扱う。これは昔からだ。
「……好きにしていいよ」
『…っ!!本っ当にムカつくなぁ!!当分帰らないって言っとくかその辺で野宿でもしてればいいよ!!!』
あ、と。電話越しで小さく笑い声が聞こえた
_______________それかさ、例の先輩に泊まらせてもらえば?
ドクンと脈打つのが聞こえた。
蘇らしたくない記憶。
もう思い出したくもない。
「…て、」
『え?』
「やめて!!!」
携帯が手のひらから抜かれる。
「ぁ……ごめん、取り乱しちゃった」
「いいよ、全然」