一筆恋々
【九月十八日 静寂より手鞠への手紙】
拝復
此方も野分の影響は殆ど無く、電車が止まって学校に遅れた程度です。
家も店も無事で、二軒隣の酒屋の看板が傾いた事と、向かいの家で出しっ放しにしていた桶が失くなったとかなんとか。
兎に角、どこも問題ありません。
濡れながら植木鉢を避難させていた女性を手伝いながら、貴女のことを考えていました。
濡れたり、怪我をしたり、帰れなくなったりしていないだろうか、と。
こんな時、手紙ではもどかしいものです。
(廃棄)