エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
考えていたことを読んだようなタイミングだ。
でも……たしかに沼田さんの言う通りだ。
歳の差も立場もきっと関係ない。
『芝浦さんは別次元にいる男じゃないですよ。桜井さんときちんと同じ地面を並んで歩いてる。そこに恋愛感情が生まれたってなにもおかしくない』
白坂くんだってそう話していた。
そして『ついでに言うと、俺も』とも。
あれって、そういう意味なんだろうか……と考え、考えることを放棄したくなった。芝浦の件だけでいっぱいいっぱいなのに、これ以上はキャパオーバーだ。
そんな私の心境に気づいたように、沼田さんが言う。
「白坂くん、そんなにダメですか? 仕事だってきちんとしてるし、将来だって有望ですよ。まぁ、立場上面倒くささはあるでしょうけど」
「あー……違うの。白坂くんがどうこうって話じゃなくて……。申し訳ないんだけど、万が一、白坂くんの気持ちがそうだとしても、今はそれどころじゃないっていうか」
「なにかあったんですか?」
こんなプライベートな話を後輩相手にしてもいいものだろうか。
そう考えながらも止まらなかったのは、ひとりで考えるにはもう抱えきれなかったのかもしれない。
芝浦の名前さえ出さなければ問題ないだろう。