エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない

そのことに気づいたときには、さすがに自分でも呆れてしまった。
そんな、童話のなかのお姫様だからこそ許される受け身を、私は現実世界で無意識にでもしてしまっていたのかと、穴を掘って飛び込みたくなった。

いったいどこが?という疑問には、すぐに答えが出た。自分でもびっくりするくらいにすぐに。

多くの女性社員は、芝浦の外見の良さと、仕事もできるところに惹かれているんだと思う。
私もそこは好き……というかいいと思う。顔だってカッコいいし、Yシャツ越しでもわかる、引き締まった体も素敵だと思う。

仕事に関しては尊敬までしてるくらいだ。

でも、芝浦の魅力はそこだけじゃない。
弱っているところを見計らったかのように、ご飯に誘って話を聞いてくれたり。
落ち込み気味のときには、気持ちが切り替えられるようなくだらない話題をくれたり。

不器用だけど、しっかりと伝わってくる優しさをくれたり……そういう部分だ。

今まで過ごしてきた時間のなかにちりばめられていた温かくなるような気遣いに私は何度も救われていて、それがどうしょうもなく嬉しかったんだと実感したら、もうダメだった。

振られているっていうのに、好きだと思う気持ちが止まらない。
あんな人に、惹かれずにいる方が無理だ。

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