エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
どうしてあんなタイミングで気づいたのかという点においては、もう性格なんだろうと思った。たぶん私は自分の気持ち含め、色々なことに鈍いんだろう。
以前、芝浦の前で泣き出したときだってそうだ。
なんとなくツラい気がする……くらいだったはずなのに、一気に限界がきて涙が溢れた。
芝浦への気持ちもそうだったんだろう。
なんとなく気になる……が、突然。
鈍感すぎるけれど、もう仕方ない。
言ってしまった以上、それを後悔したところでもう遅いし無駄だ。
そうは分かっていても、気持ちの切り替えは難しいけれど。
芝浦とのことを簡単に説明して、最後に「本当に、今更すぎるんだけどね」と笑うと、沼田さんは難しい顔をした。
「それ以降、芝浦さんと連絡はとってないんですか?」
「連絡はくるけどね。今話しても冷静でいられないから」
電話もメッセージも何度もきている。
でも、一度も反応を返していない。
私の気持ちの問題で、なにも悪くない芝浦に八つ当たりしたくない。だからもう少し落ち着く時間が欲しい。
「まぁ、なにかの行き違いだとは思いますけど」と言い、ストローに口をつけた沼田さんが言う。
「個人的には、社内の他の女が騒いでいる人気の男性社員が選んだのが先輩っていうのは、ざまぁみろって感じでとても喜ばしいので、芝浦さんとでも白坂くんとでもどっちでもいいのでくっついてくれるとありがたいです。とくに給湯室シスターズにはどや顔で見せつけて欲しいですね」
最後、「応援してますよ」と言った沼田さんに、苦笑いをこぼした。