エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
同じことしか聞いてこない横沢さんにほとほと呆れながら返す。
何度このやり取りをしたら気がすむんだろう。
私の顔を見たら白坂くんのことを聞くのは、もう条件反射なんだろうか。迷惑でしかない。
カップはあとふたつで拭き終わる。早々にここから離れたほうがメンタル的によさそうだ。
今日はなんだかダメだ。些細なことにイライラしてしまう。
ホルモンバランスか栄養バランスか……と考え、大学芋生活を思い出す。
それもイライラする理由のひとつかもしれない。
「『わかりません』じゃなくて。私、このあいだも言ったよね? 聞いて欲しいって」
「私も言ったはずです。彼、すぐに帰っちゃうからそんな時間ないって。だから自分で聞いてくださいとも言いましたよね。そもそも引き受けた覚えもありませんし」
やや突き放した言い方になってしまった気はした。
でも、私だっていつまでもこんなくだらない話題に付き合ってはいられない。少しくらい冷たくしたほうが今後聞いてこなくなって楽かもしれないな……と考えながら、最後のカップを拭き、布巾を洗う。
「あのさー」
洗った布巾を干し終えたところで、そんな声をかけられる。
今までとは違って、不機嫌さの混じった声だった。
「時間ないって言っても、私が頼んだことを聞くくらいできるでしょ。人が頼んでるのにその態度はないんじゃない?」
男性社員には見せないような険しい顔で言われ、げんなりする。
すごい言い分だな……と思いながらも黙っていると、それまで黙っていた渡辺さんが横沢さんに加勢する。