エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない

「やっぱり部署が違うと不利だな。俺が守りたかったのに」

今日の、横沢さんたちとのことを言っているんだろう。

一連の流れはもう説明してある。
白坂くんが庇いに入ってくれたことは……なんとなく彼の気持ちに気づいてしまった今は、少し言いづらかったけれど。

駅まであと五分、というところまで来ると、雷雲はゴロゴロと音を立て始めていた。空が一気に暗くなる。

「タイミングが悪かったからうまく言い返せなかったけど、あれくらいひとりで対応できるから大丈夫だよ。それに芝浦、面倒事嫌いでしょ」
「そうだな。だから、そういう場面を目の当たりにしたとしても、誰彼かまわず庇うわけじゃない」

ピタリと足を止めた芝浦に気づき、私も一歩先で立ち止まる。
振り向くと、笑みを浮かべた芝浦が私をじっと見ていた。

「桜井だけ。……この意味、わかるか?」

意味深に細められた目に、困り切って眉を寄せた。

『わかるか?』なんて、こんなの誘導尋問だ。
好きだって言ったし、芝浦からもさっき聞いた。その上で、これ以上どう答えればいいのかがわからず、口を開けては閉じ……を繰り返していたとき。

ザー……という静かな音を立て、突然雨が降り始める。
ゴロゴロという音が急に近く聞こえていた。


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