エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
飲み会も開始から一時間も過ぎれば、ほどよくアルコールが回りトークの軽快さに拍車がかかってくる。
集まったメンバーが三年以上の付き合いになる同期なら、余計に。
同期会と銘打った飲み会は、仕事の報告や愚痴から始まり、今はすっかり恋バナにシフトチェンジしていた。
「じゃあ、質問。束縛ってどこまで許せる?」
ビールジョッキ片手に聞くのは、ムードメーカーの谷川くんだ。明るい性格といじりやすさで、同期会のときにはいつも話題の中心にいる。
全国にチェーン展開されている居酒屋さんということと、金曜日の夜ということもあり、店内はとても混み合っていた。
十人が座れる個室には、他の部屋からガヤガヤとした話し声や笑い声が聞こえてくるけれど、谷川くんの声も両サイドの部屋には筒抜けだろう。
それくらい、彼の地声は大きい。
「同性の友達と出かけてきたって説明してるのに、色々しつこく聞いてきたらアウトだなぁ。疑ってるのが見え見えで」
「ああ、まずこっちの言うこと信じてないってことだもんね。それは私も嫌かも。あと、SNSに投稿したこととか細かく把握されてるのとか嫌じゃない?」
今日、集合したのは男子四人に、女子が三人。男女に分かれて向かい合って座っている。
並びに座っているふたりが盛り上がっているのを、ウーロン茶を飲みながら眺める。
亜美も紗理奈も、相当仕事での不満が溜まっているらしく、お酒のピッチが速い。
「あ、それやだねー。一週間前の話だけど、彼氏の部屋でご飯食べてたら、急に『同期会があるんだね』とか言われて。私、まだそれ言ってなかったのになんで知ってるんだろうって思ったら、SNS見られててさー」
「うわ、ひくー」「でしょー?」と顔を歪ませるふたりを見て、谷川くんが驚いた様子で口をはさむ。