エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない


「でも、モテるのも大変だよね。白坂くんの指導係になってから、よく思う。仕事に集中したくても周りがあれだと……まぁ、白坂くんの場合、噂なんか気にしてなさそうだけど」

噂どころか、振った相手がその場で泣こうが喚こうが気にしなそうだ。
泣き出した女の子相手でも〝話が終わったなら、俺はこれで〟と平気な顔して背中を向ける性格をしている気がする。

気持ちの切り替えも速そうだし、本当にドライって言葉がぴったりだ。
ああいう子を本気で好きになってしまったら大変そうだなぁ……と考えながら、最後のカップを拭いていると、芝浦が言う。

「マイペースそうなヤツだよな。一度だけ食堂で席が近くになったから少し話したけど、物怖じしない感じだった」
「ああ、そんな感じ。でも、無表情でとっつきにくさはあるけど、仕事はきちんとしてるし悪い子じゃないよ。可愛いところもあるし」

「なに、可愛いところって」

カップを拭いていた布巾を手洗いしながら説明する。

「記載と違う部分を細かく理詰めみたいに言ってくるお客様がいたんだけどね。〝南側に大きな窓があり日当たり良好〟って書いてあるけど、一般的に〝大きい窓〟っていうのはサイズがいくつ以上ある窓のことで、この窓はそのサイズを満たしていないんじゃないか……みたいな感じで」

「それは相当面倒くさいな」

ハッキリと言う芝浦に、笑みをこぼしながら続ける。

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