エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
「結構かかってくるのか?」
「電話? たまにね。翌日だと遅いかもしれないとか判断がつきにくいことは確認って形で聞かれたりするよ。あとは、今みたいにうっかりやり残した仕事のこととかも。一応、私が指導係だからちゃんと報告してくれるんだと思うけど、しっかりしてるよね」
カップのことだって、〝雑用だし、明日行くんだしいっか〟となりそうなものなのに、きちんと報告を入れてくれる。
ホウレンソウが完璧なのは、部長が口を酸っぱくして言っているからというだけではなく、白坂くん自身の真面目な性格もあるんだろう。
社内での人間関係を除けば、できた新入社員だ。
「雑用も嫌な顔しないで率先してやってくれるし、わからないこともなぁなぁにしないできちんと聞いてくるし。白坂くんが女性社員に人気があるのもわかる。……って言っても、騒いでる女性社員は、白坂くんのそういう部分までは見ているかはわからないけど」
ほとんどの女性社員が、見た目と肩書に惹かれているのは明白だ。
白坂くんもそれをわかっているからこそ、あんな冷たい態度になるのだろうし、だとしたら仕方ないのかな、と苦笑いをこぼしていたとき。
「べた褒め」
急に冷めた声で言われ、顔を上げた。
「え?」
芝浦は、前を向いたまま、視線だけで私を捕らえていた。
その瞳が無機質な色に思え、どうしたんだろう……と疑問に思って見ていると芝浦が口を開く。