エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない

「どうかしましたか? ああ、彼氏とかでした?」
「違う違う。……同期。白坂くんも知ってるんじゃないかな。経営企画部の芝浦」

白坂くんもだけど、芝浦だって社内では有名人だ。
仕事ができるっていう面でも、外見のよさでも。

そういう噂話が男性社員の間でどれだけ交わされているかは謎だ。
でも、芝浦の話だと一度食堂で話したとか言ってたし……と思い出していると、白坂くんは「ああ、知ってます」と返事をした。

「有名ですよね。美形で有能だって。今も重要な企画動かしてるって聞いてますし」

チラッとこちらを見た白坂くんが「桜井さんって、芝浦さんと付き合ってるんですか?」なんて聞くから、慌てて首を振った。

「え、違うよ。なんで?」
「さっき、わけありっぽい顔してたので」

ああ、やっぱりおかしな反応をしてしまっていたのか。
しかもそれを見破られてしまい、隠すことは諦める。

「実は、その日にちょっと喧嘩っぽい感じになっちゃって今もそのままだから変な顔しちゃっただけ。……あ、白坂くんからの電話は関係ないよ。ただ、お互い色々あってぶつかっちゃっただけだから」

そう説明してから「それより」と、白坂くんを見た。

「はい?」
「私は、白坂くんに対して普通に接してるつもりだけど、もしおかしいなって思うところがあったら指摘してね」

珍しくポカンとした顔をした白坂くんは、少しの間そのまま停止してから思いついたように言う。

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