エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
〝ただの同期でそれ以上は絶対にない〟という栓が砕かれてしまったみたいに、感情が渦になり回りだす。
「ついでに言うと、俺も。……なんて言うと、だいぶうぬぼれたやつみたいですけど」
「え?」
ぐるぐるする感情にいっぱいいっぱいになっているところに言われ、聞き返す。
『ついでに言うと、俺も』って、どこにかかっている言葉だろうと、今までの会話を必死に思い出そうと頭を巡らせた。
たしか次元がどうのって話をしていて……と考えてハッとする。
「あー……ごめんね。やっぱり変な態度とっちゃってた? 白坂くんのこと違う次元のひとだなんて思ってないし、バックに社長の影を見てるわけでもないんだけど、もしかしたら……」
「そういう意味じゃありません」
遮られ黙ると、白坂くんはわずかに口の端を上げて続けた。
「まぁ、今はまだそういう意味として捉えてくれていても構いませんけど」
珍しい微笑みを目の前にして、ポカンとしてしまった。
この愛想笑いができれば、社内でだって営業でだってうまくいくだろうに……と考えてから我に返る。
「なにそれ。どういう意味?」
眉を寄せて聞いた私に、白坂くんは「さぁ」となおも笑う。
こんなやりとりを誰かと一週間前にもした気がして呆然としてしまっていたとき、鞄のなかで携帯が震えた。