エリート同期は一途な独占欲を抑えきれない
コンビニのお菓子コーナーは基本的にはリーズナブルな値段の商品が置いてある。二百円や三百円のものがほとんどだし、高くてもスイーツで五百円程度。
それを抵抗なく召し上がるなら、あのコーヒーショップの季節限定商品も大丈夫かもしれない。
あそこのミルクフラッペは、カロリーも高ければ値段も高いから。
いかにもそうする予定だったという感じで〝以前、マンゴーがお好きだとおっしゃっていたのを聞いて、こちらのミルクフラッペが本日からということだったのでいち早く熊田様に飲んでいただきたくて〟とかうまく言えば……いや、ダメだ。無理がある。
熊田様の頭のなかは、部長イコール、コーヒーだ。ここに来る時点でコーヒーの口になっている。マンゴーじゃダメだ。
そもそも値段がすぐにわかってしまうものをお出しするのは失礼にあたるかもしれないし。でも、それ以外には思いつかないし……。
頭をフル回転させるのに、これを打破できる決定的な方法が思い浮かばない。時間だけが過ぎていく。
吉田さんを含めた男性社員は、我関せずという感じで誰も意見はしてくれる様子はない。沼田さんが言っていた通り、お茶くみは女の仕事だと考えているんだろう。