独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
蓮斗が歩き出し、詩穂も並んだ。詩穂は大学入学とともに地方から出てきて、ここ大阪でひとり暮らしを始め、そのまま就職したので、住所は大学時代と変わっていない。蓮斗もそうだろうか、と思って、彼にそう訊いた。
「いや、大学を卒業して一年後に引っ越した」
「それなのに、今日はどうしてここに?」
用事でもあったのだろうかと思う詩穂に、蓮斗が答える。
「この近くに俺が学生時代を過ごしたマンションがあって……この辺りは俺にとって思い出の場所だから」
「原点に返ってみたくなったってわけ?」
「ま、そんなところかな。今から行く居酒屋は……俺にとって原点みたいな場所だから」
勝ち組だと思っていた蓮斗だが、原点を訪ねたくなるようなことがなにかあったのだろうか。
そんなことを考えながら歩いているうちに、バス停の近くにいくつも店が見えてきた。焼き肉レストラン、串焼き専門店、そしてどこにでもありそうな居酒屋。
「あのお店?」
詩穂が指差すと、蓮斗は頷いた。
「うん。安くてうまいから、学生の味方だった。仲間と集まって飲みながら起業計画を練ったんだよなぁ」
蓮斗が懐かしそうに言った。『起業計画』という言葉に苦い気持ちを覚えながら、詩穂は彼が開けてくれたドアから中に入る。
「いや、大学を卒業して一年後に引っ越した」
「それなのに、今日はどうしてここに?」
用事でもあったのだろうかと思う詩穂に、蓮斗が答える。
「この近くに俺が学生時代を過ごしたマンションがあって……この辺りは俺にとって思い出の場所だから」
「原点に返ってみたくなったってわけ?」
「ま、そんなところかな。今から行く居酒屋は……俺にとって原点みたいな場所だから」
勝ち組だと思っていた蓮斗だが、原点を訪ねたくなるようなことがなにかあったのだろうか。
そんなことを考えながら歩いているうちに、バス停の近くにいくつも店が見えてきた。焼き肉レストラン、串焼き専門店、そしてどこにでもありそうな居酒屋。
「あのお店?」
詩穂が指差すと、蓮斗は頷いた。
「うん。安くてうまいから、学生の味方だった。仲間と集まって飲みながら起業計画を練ったんだよなぁ」
蓮斗が懐かしそうに言った。『起業計画』という言葉に苦い気持ちを覚えながら、詩穂は彼が開けてくれたドアから中に入る。