独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「うーん……炊き込みご飯にから揚げ、ウインナーにきんぴらごぼうか……。見事に茶色いな。わざと茶色に統一したのか?」

 土曜日の気まずさを感じさせない、からかうような口調だ。

「うるさいなー、見ないでよ」

 ついタメ口で応えてしまい、慌てて言い直す。

「うるさいです、見ないでください」

 蓮斗はおかしそうに笑って、ひょいと手を伸ばし卵焼きをつまんだ。

「茶色くないもの見っけ」

 そうしてぱくりと口に入れた。

「あ、ちょっと!」
「へえ、意外と甘いんだな、この卵焼き」

 勝手に食べたくせに文句を言うなんて、と詩穂は蓮斗を睨んだ。

「今度、俺の弁当も作ってきてよ」
「はぁ? なんで私が社長のお弁当を作らなくちゃいけないんですかっ」
「そんなの決まってるだろ」

 蓮斗が大きな笑顔になって続ける。

「うまかったからだ」

 その笑みがあまりにまぶしくて、詩穂の心臓が大きく跳ねた。この男はどうしてこうも、私の恋心に不意打ちを食らわせるのか。

「いいだろ?」

 見つめられて鼓動がどんどん高まっていき、詩穂はわざとそっけなく答える。

「は、早起きするのは大変なんでっ、明日からコンビニ弁当にしますっ」
「なんだよ、つまらないな」

 蓮斗が不満そうな顔をして言った。
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