独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「乾杯」

 一口飲むと、弾けるような炭酸とともにキリッとしたレモンの酸味が口の中に広がった。

「はぁ、おいしい」

 シュワッと爽やかな味につられて、ゴクゴクと飲む。

「小牧とふたりで飲むのは何年ぶりだろうな」

 蓮斗がジョッキをテーブルに戻し、枝豆をつまんで言った。

「んー? ふたりで飲んだのは、大学の起業コンペの前が最後だったんじゃないかな? だから、六年前?」
「そんなになるか?」

 蓮斗が驚いたように目を見開いた。

「たぶんね」

 あの頃はまだ、蓮斗のことを対等に張り合える友達で、ライバルだと思っていたから。

 詩穂は顔をしかめた。心なしかレモンの苦みが強まった気がする。

「俺さ、今度おまえに会ったら、訊こうと思ってたことがあったんだ」

 改まった調子で切り出され、詩穂は海鮮サラダを小皿に取りながら身構える。

「え、いきなりなによ……」
「おまえさ、同窓会で会ってもいつもそっけないじゃないか。俺、おまえに避けられるようなこと、なにかしたか?」

 蓮斗は右肘をついて手で顎を支え、じぃっと詩穂を見つめる。

「や、別に私、須藤くんのこと、避けたつもりはないけど」
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