独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
第八章 何度でも欲しくなる
 翌朝、目を覚ましたとき、部屋の中はまだ仄暗かった。目の前に蓮斗の寝顔があり、裸のまま彼に腕枕されている事態に息をのむ。

(蓮斗と寝てしまった……!)

 なんてことをしたのだろう。すっかり酔いが醒めた今、後悔だけが押し寄せてくる。弘哉が部屋の前で待っていたというショッキングな出来事に加えて、ふたりとも酔っていた。おまけに蓮斗には『礼は言葉じゃない方がいいな』と言われて、こんなことになったのだ。

 心を伴わない、体だけの関係。

 切なさが込み上げてきて、詩穂は思わず彼の名前を呼んだ。

「……蓮斗……」

 蓮斗がうっすらと目を開け、数回瞬きをした。そうしてにっこり微笑む。

「詩穂、おはよう」

 その表情に胸が苦しくなって、詩穂はベッドに起き上がった。

「シャワー、浴びてくる」

 ベッドから降りようとしたとき、右手首を掴まれた。肩越しに見ると、蓮斗が気だるげに息を吐いた。

「今何時?」

 詩穂は部屋を見回して、DVDプレイヤーの時刻表示に目をこらした。

「五時二十九分」
「五時半に起きるのは大変だとか言ってなかったっけ」
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