独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「だけど、一緒にいるうちにどうしても守ってやりたいって思い始めた。大学時代は強いおまえに惚れていたけど、弱いところも知って……全部含めてまたおまえを好きになった。あの男に『詩穂は渡さない』と言ったのは本心だ。今度こそ絶対に逃さないと誓った。でも、土曜日、送っていこうとして断られたから……焦ってすべてを台無しにしないよう、ゆっくり進めるつもりだったんだ。それなのに……結局俺はぶちこわしてしまった」

 蓮斗は自嘲の笑みを浮かべて詩穂に背を向けた。

「悪かった」

 蓮斗がドアノブに手をかけたので、詩穂はとっさに彼の背中にしがみついた。

「なんでそんな大事なことを言ってくれなかったのよっ!」
「えっ」

 蓮斗が驚いた声を上げて、肩越しに詩穂を見る。

「私を……好きってこと! 言ってくれてたら、私、あんなに悩まなかったのに! 本当にただのお礼のためなんだと思ったから……私、苦しくて」

 涙が込み上げてきて、詩穂は後ろから蓮斗をギューッと抱きしめる。

「まぶしかったのは蓮斗の方だよ。蓮斗のそばにいて、どんどん惹かれていって……。私、蓮斗が好き」

 詩穂は蓮斗の背中に頬を寄せた。蓮斗の胸に回した手に、彼の手が重ねられる。
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