独占溺愛～クールな社長に求愛されています～

「乗れよ」

　蓮斗が身を乗り出して助手席のドアを開けた。

「ありがとう」

　詩穂は小走りで近づき、助手席に乗り込んだ。車内はゆったりとしていて、ライトグレーの座席と黒のインテリアがシックで高級感がある。

「ほら、朝飯」

　蓮斗が後部座席からコンビニのビニール袋を取って、詩穂の膝の上に置いた。中にはサンドイッチとペットボトルの紅茶が入っている。

「わぁ、ありがとう！」
「食べる暇なかっただろうと思ってな」
「うん、ホントだよ。蓮斗が」

　何回もするから、と言いかけて、詩穂は言葉を切った。代わりにサンドイッチのパックを取って、赤い顔をしながら「いただきます」とつぶやく。

「俺はまだまだ足りなかったんだけどな」

　蓮斗が笑いながらアクセルを踏んだ。

「冗談でしょ」

　車の流れに乗って、蓮斗が助手席にチラッと視線を投げた。

「どう思う？」
「知らないっ」

　詩穂がぷいっと横を向き、蓮斗はおかしそうに声を上げて笑った。

「もう！　それより蓮斗は朝ご飯食べたの？」
「ここに来るまでにね」