独占溺愛～クールな社長に求愛されています～

「詩穂ちゃん」
「な、なんですか」
「マッチングアプリ、教えてあげようか」
「え？」
「ほらほら、昨日、出会いがないって嘆いてたじゃな～い」

　真梨子に意味ありげな視線を向けられ、詩穂はドギマギしながら答える。

「やー、あの～、マッチングアプリはやっぱりもういいかな～って……」
「だよね」

　即座に真梨子が言い、詩穂は真梨子にからかわれたのだと知る。

「真梨子さん！」
「なぁに？」
「なぁにじゃないですよ、もう」
「お似合いだと思うよ」

　真梨子ににっこりされて、詩穂はますます顔を赤らめながら「ありがとうございます」とつぶやいた。



　その日、詩穂は仕事を終えて、スーパーに寄った。

（蓮斗ってなにが好きなんだろう）

　リクエストを訊いておかなかったことを後悔しつつ、昼休みにネットで検索した“男性が喜ぶ家庭料理”というサイトのランキングを参考に、豚の生姜焼きの材料を買った。帰宅して、ラフなカットソーとマキシ丈のキャミワンピースに着替えて、いつもより多めに買った食材をキッチンカウンターに並べる。

「さて、がんばるぞ～」