独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
詩穂は力なく笑ってグラスに口をつけた。湧き上がってくる苦い感情を押し返すように、レモンサワーを喉に流し込む。
「詩穂が起業したのは、インターネットのサイトで手工芸品を販売する会社だったよな」
蓮斗が低い声で言った。
「うん。手作りを趣味にしている女性や高齢者の利用を想定してたんだけど……」
「ちょっと時代を先取りしすぎたのかもしれないなぁ」
「そんなことないよ。だから、潰れたんだよ」
「いや。買収した企業は、今、地方の名産品なんかも取り入れて、サイトを大きくしてるよ」
「資金とかノウハウとか……私にないものをいっぱい注ぎ込んだんでしょ」
詩穂はそっけなく言って、焼き鳥に手を伸ばした。
「それでも、小牧が種を蒔いて育てた事業だ」
それを聞いて、なにか熱いものが込み上げてきた。蓮斗の言葉は、詩穂にとって“黒歴史”であった起業を肯定してくれている。友達や家族の前でさえ強がって、弱音を吐いたことはなかったのに、今、目の前の男に話を聞いてほしいと思った。
「……本当は妬ましかったんだ。腹が立つくらい妬ましくて嫉妬してた」
「詩穂が起業したのは、インターネットのサイトで手工芸品を販売する会社だったよな」
蓮斗が低い声で言った。
「うん。手作りを趣味にしている女性や高齢者の利用を想定してたんだけど……」
「ちょっと時代を先取りしすぎたのかもしれないなぁ」
「そんなことないよ。だから、潰れたんだよ」
「いや。買収した企業は、今、地方の名産品なんかも取り入れて、サイトを大きくしてるよ」
「資金とかノウハウとか……私にないものをいっぱい注ぎ込んだんでしょ」
詩穂はそっけなく言って、焼き鳥に手を伸ばした。
「それでも、小牧が種を蒔いて育てた事業だ」
それを聞いて、なにか熱いものが込み上げてきた。蓮斗の言葉は、詩穂にとって“黒歴史”であった起業を肯定してくれている。友達や家族の前でさえ強がって、弱音を吐いたことはなかったのに、今、目の前の男に話を聞いてほしいと思った。
「……本当は妬ましかったんだ。腹が立つくらい妬ましくて嫉妬してた」