独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
第十章 今を蝕む過去の因縁
 クリスマスのイルミネーションが街を華やかに彩る十二月上旬の金曜日。詩穂は足取りも軽く帰路についていた。もちろん帰る先は蓮斗と暮らしているマンションである。引っ越しは先月末の土曜日に済ませている。

(今日はなにを作ろうかな~)

 スーパーでメニューを考えながら食材をあれこれと見る。自分しか食べないときは、手抜き料理や買ってきた総菜で済ませることが多かったが、好きな人のために作るのだと思うと、気合いが入る。仕事の疲れすら感じない。

 蓮斗と一緒に暮らし始めたとき、早く帰った方が食事を作り、作らなかった方が片づけを担当する、という役割分担が決まった。とはいえ、詩穂の方が先に帰宅することが多く、もっぱら詩穂が料理担当になっている。

 今日はグラタンとスープ、サラダを作ることにして、材料を買って帰宅した。合い鍵でオートロックを解除し、二十階に向かう。共用廊下からふと外を見ると、対岸にある高層マンションで、バルコニーにイルミネーションを施している部屋がいくつかあった。

(そろそろクリスマスプレゼントを買いに行った方がいいよね~)
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