独占溺愛～クールな社長に求愛されています～
　詩穂の問いかけに、蓮斗はかすかに微笑んで答える。

「ありがとう。でも、大丈夫。詩穂は先に休んでて」
「……わかった」

（なにも話してくれないんだ。蓮斗が私を助けてくれたように、私だって蓮斗の力になりたいのに……。私じゃ役に立てないの？）

　詩穂は胸がモヤッとするのを感じながら、ベッドルームに向かった。



　翌朝目を覚ましたとき、蓮斗は詩穂の隣で眠っていた。さすがに一晩寝れば、顔色はずっとよくなっていた。

　もう少し寝かせておいてあげようと、詩穂はそっとベッドから降りた。リビングで時計を見ると、もう八時だ。

　会社がある日よりも二時間近く遅く起きてしまった。けれど、土曜日の朝だから、ゆっくり食べられる。

　フレンチトーストを作ることにして、食パンを食べやすい大きさにカットした。それを卵と牛乳、バニラエッセンスを混ぜた液に浸す。バターをたっぷり溶かしたフライパンにパンを入れて、表面に砂糖を振る。そうするとひっくり返したときに表面がキャラメリゼされたみたいになって、おいしいのだ。上下を返してから逆の面にも砂糖を振り、最後にもう一度焼けば、両面カリカリのフレンチトーストになる。それを皿に盛りつけ、コーヒーメーカーをセットして、蓮斗を起こしに向かった。
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