独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「れ~んと、おはよう」

 ベッドに膝を乗せて、蓮斗の額にキスをした。

「……おはよう」

 蓮斗がゆっくりと目を開けた。なんとも色気のある気怠げな表情に、詩穂は口元に笑みを浮かべる。

「もう少し寝てたかった?」
「いや、いい」

 蓮斗はベッドに起き上がり、左手で詩穂の肩を抱いて彼の方に引き寄せた。そうして髪にチュッとキスをして手を放す。

「朝ご飯できてるよ。フレンチトーストを作ったんだ」
「ありがとう。顔を洗って歯磨きしたらダイニングに行くから」

 蓮斗がベッドから降りて、髪をくしゃくしゃと掻き乱しながら部屋を出て行く。その後ろ姿が眠たそうだ。

 サイドボードの上で、蓮斗のスマホの通知ライトが点滅しているのが視界に入る。

「蓮斗、メールが来てるみたいだよ」

 詩穂は言いながらキッチンに戻った。今日は詩穂もコーヒーを飲むことにして、それぞれのマグカップにコーヒーを注ぐ。

「お待たせ」

 蓮斗がさっぱりした顔でダイニングに入ってきた。

「あ、やっと目が覚めたって顔してる」

 詩穂がクスッと笑い、蓮斗はバツが悪そうな表情になる。

「昨日は連絡せずに遅くなってごめん」
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