独占溺愛～クールな社長に求愛されています～

　昨日の話を持ち出され、詩穂は胸が再びモヤモヤとする。けれど、それを顔に出すまいと笑顔を作った。

「冷めないうちに食べよ」
「ああ、ありがとう」

　キッチンカウンターに並んで座り、「いただきます」と手を合わせた。ナイフとフォークを使ってフレンチトーストを一口大に切る。口に入れたら、キャラメリゼされた砂糖がしゃりっと舌の上で溶けた。

　上手にできた。

　蓮斗を見たら、彼は数回瞬きをして詩穂を見た。

「俺が食べたことのないフレンチトーストだ」
「結構いけるでしょ？」
「ああ。クイニーアマンのような食感だな」
「表面に砂糖を振って、たっぷり溶かしたバターで焼いたの。実は偶然の産物なんだよね～。以前、卵液に砂糖を入れ忘れたことに気づいて、表面に振ったらいいかと思って振って焼いたら、こんなふうにカリカリになっておいしくできたんだ」
「なるほど、怪我の功名ってやつだな？」

　蓮斗が笑みを浮かべた。彼が気に入った様子なので、詩穂は嬉しくなる。

「今日はどうしようか？　昨日は遅かったし、家でゆっくりする？」

　もし蓮斗がそうしたいと言えば、詩穂だけ買い物に行こうと考えた。そろそろ蓮斗へのクリスマスプレゼント選びに本腰を入れなければ。