独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 蓮斗のところに駆け寄ろうとして、ハッと足を止めた。今日はクリスマスプレゼントを選ぶつもりなのだ。もし彼と一緒に出かけたら、選べなくなってしまう。

 プレゼント選びは今日は諦めて、平日、会社帰りにデパートにでも寄ることにしようか……。

 詩穂が悩んでいるうちに、蓮斗は駅とは逆方向に歩き始めた。コンビニにでも行くつもりなのだろうかと思ったとき、彼にひとりの女性が近づくのが見えた。黒髪のロングヘアが艶やかで、ベージュのコートを着たスタイルのいい女性だ。蓮斗は彼女に気づいて足を止め、少し話したあと、ふたりで並んで歩き始めた。

(え、なんで?)

 たまたま知り合いに会ったのだろうか? だとしても、タイミングがよすぎる。蓮斗が詩穂に出かける時間を訊いたのは、まさかあの女性と会うため……?

 一緒に暮らし始めて一ヵ月半。彼に疑わしいところなんてなかった。それなのに疑うなんて最低だ。

 そう思ったけれど、次々に悪い考えが頭をよぎる。

 だって、昨日、蓮斗は帰りが遅かったのだ。しかも詩穂に連絡することなく、ワインを飲んで帰宅している。

 誰と、どこで? まさかあの女性と?
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