独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 ジェニファーがハンドバッグから名刺入れを取り出し、一枚引き抜いて詩穂に差し出した。それにはJennifer McBrightの文字と、Executive Vice President and Director、つまり取締役副社長という肩書き、そしてMcBright Technologies, Ltd.という社名が印字されていた。

「私と蓮斗さんのお付き合いは、あなたより長いです。私、蓮斗さんに会社の合併の話をするため、日本に来ました。彼の会社と私の父の会社が一緒になれば、もっと大きなことができます。もっと世界に影響力を広げることができます。ミア・エンプロイーのあなたじゃ、できない。できるのはエブゼクティブ・ヴァイス・プレジテントの私です」

 ジェニファーにまくし立てられ、詩穂はたじろぎそうになりながらも、できるだけ冷静な声を出す。

「……そういうお話でしたら、直接ソムニウムのオフィスでされたらいいのではないですか? 休日に訪ねてきてするお話ではないと思います」
「昨日、ソムニウムのオフィスを訪ねました」
「えっ」

 詩穂の驚いた顔を見て、ジェニファーが思わせぶりな笑みを浮かべる。

「合併の話を進めるためです。彼とずっと一緒にいました」

 詩穂の頬が引きつった。

 ということは、昨晩、蓮斗はジェニファーとワインを飲んだのか。
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