独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「そういう大切な話、蓮斗さんはあなたにしないのですね。確かにあなたにしても仕方がないでしょう。あなたはただのミア・エンプロイーだから。あなた、ご自分の立場を理解していますね?」

 詩穂がなにも言えないでいるうちに、ジェニファーが畳みかける。

「私、蓮斗さんにふさわしい女性になるために、アメリカで努力してきました。蓮斗さんは、そんな私をずっと待ってくれていたのです。連絡だって取り合ってました」
「そんなの……信じられません」

 そう言いながらも、詩穂の中でなにかがぐらつき始めたのがわかった。

「証拠はありますよ。お見せしてもいいですけど、でも、あなたにはきっとショックが大きいでしょうね」

 ジェニファーはバッグからチラリとスマホを取り出す仕草をした。

「あなたは私がいない間の代用品だったんです。わかりますか?」
「代用品って……」

 ひどすぎる。あんまりだ。

 愕然とする詩穂に、ジェニファーが髪をかき上げながら妖艶に微笑む。

「私の代用品にしては、趣味が悪すぎると思いますけど」

 彼女は詩穂の全身に視線を走らせ、小馬鹿にしたように言った。確かにジェニファーの方がスラリとして背が高いのに、出るところは出ている。平均的日本人体型の詩穂とは比べようがない抜群のスタイルだ。それに女優と言われてもおかしくないくらいの美貌。

 詩穂は下唇を噛みしめた。ジェニファーは鼻で笑って言う。

「仕方ないわ。ソムニウムにはほかに独身女性はいなかったでしょうし。それに、彼、私のことを好きだって言ってくれたんです。私なら蓮斗さんを幸せにできます。これからは私と彼とで、ソムニウムを育てていきます。新生ソムニウムにあなたは必要ありません」
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