独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「次は須藤くんの番。ほらほら、お姉さんに話してごらんなさい」
「なに人生経験豊富みたいなふりしてんだよ。おまえの方が年下だろ」
「だから、誕生日が来てないだけで同い年だって」

 大学時代にもこんな他愛ない軽口をよくやりとりした。

(須藤くんとは……ゼミも同じでこんなふうに仲良くしてたのに……友達だったのに……)

 彼の成功が妬ましかった。そしてそんな負の感情を抱いてしまう自分が嫌だった。なによりいつでも女の子に囲まれてチヤホヤされている彼を見るのが腹立たしくて……詩穂の方から距離を置くようになったのだ。ゼミの同窓会でも、彼は変わらず気さくに話しかけてくれたというのに。

 自分の心の狭さが、たまらなく恥ずかしい。

 詩穂は小さく咳払いをした。

「人生経験は豊富じゃないけど、愚痴くらいならいくらだって聞いてあげる」

 蓮斗が視線を逸らしてジョッキを取り上げた。

「弱音を吐くのは好きじゃないんだ」
「私だって好きじゃないけど、話したんだよ。だから、次は須藤くんの番」

 蓮斗はビールを数口飲んで、深く息を吐き出した。そうしてボソッと言う。
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