独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 蓮斗が憤然として言う。

「彼女にまだ俺のことが好きだとは言われたが、俺が彼女を好きだと言うわけがない! 七月に彼女がアメリカに帰るときに別れてから、好きだとは一度も言ってない」
「やっぱり彼女と付き合ってたんだ」
「……半年間くらいな」

 蓮斗は気まずそうな顔で言った。けれど、彼を責めることはできない。詩穂だって四ヵ月前まで弘哉と付き合っていたのだ。

「マクブライトさんは、アメリカにいる間も蓮斗と連絡を取り合ってたって言ってたけど?」
「何度か彼女のお父さんの容態を尋ねたことはある。ソムニウムの社員みんなが心配してたからね」
「じゃあ、彼女はそれを全部自分にとって都合のいい嘘に言い換えたんだ……」

 蓮斗はため息をついた。

「しかも俺には、俺に会う直前、マンションの廊下で詩穂と会って話をしたとき、詩穂に『私よりもミズ・マクブライトの方が蓮斗にふさわしいとわかりました。私は身を引きます』って言われたって言ったんだ」

 ジェニファーは蓮斗にもそんな嘘をついたのか!

 詩穂は驚きながらも、不安になって蓮斗に問う。
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