独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「洗い物終了!」

 蓮斗が冷蔵庫から鶏もも肉と野菜を取り出した。ブロッコリーのツリーは詩穂の担当なので、ブロッコリーを小房に切り分けた。ジャガイモを茹でてマッシュポテトを作り、大皿の上に円錐型に盛りつける。塩茹でしたブロッコリーをツリーに見えるように盛り、プチトマト、型抜きしたニンジンやチーズ、パプリカで飾りをつけた。最後にモールに見立てたマヨネーズで飾ればできあがりだ。

 隣では蓮斗が市販のシーズニングミックスを振った鶏肉を、フライパンで焼いていた。その横顔は仕事中と同じくらい真剣だ。

 詩穂は今度はホタテ貝のカルパッチョ作りに取りかかる。貝柱とマッシュルームをスライスして、大皿の上に平たく並べた。塩こしょうしてレモン汁を絞り、オリーブオイルを回しかければできあがりだ。

「もうできちゃった」

 蓮斗の方を見ると、彼はトングを使って鶏肉をひっくり返していた。皮目にパリッとした焼き色がついていて、おいしそうだ。

「いいにおい」

 詩穂は目を細めた。

「上出来だろう?」

 蓮斗の口調はどことなく誇らしげだ。

「そろそろ盛りつけてもいいよね」
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