独占溺愛～クールな社長に求愛されています～

「よかった」
「野菜とベーコンの旨味がじんわり染みて、ホッとする味だな。休日にこうやってゆっくり朝食を食べられるって、いいもんなんだなぁ」

　蓮斗がしみじみと言った。

「ランチに近い時間だけどね。須藤くんは仕事忙しいの？」
「そうだな。買収をしかけられたり、例のインターンの後始末もあったりで」
「やっぱり……社長って大変なんだね」

（私の起業がもし成功して、同じような目に遭ったとしても、私だったら対処できていなかったかもしれない……）

　弘哉も本当に大変そうだった、と思い出しかけて、慌てて現実に戻る。

「まあね。でも、支えてくれる人たちがいるからな」
「須藤くんも友達と一緒に起業したんだもんね」

　彼を支えているのはそうした友達や仲間、家族なのだろう。そして、そういう存在はほかにもいるはず……。

　そこまで考えて、詩穂は大変なことに気づいた。

「須藤くんって彼女いるよね？　こんなふうに私の部屋に泊まって、誤解されたら大変じゃない！　私たちはただの友達で、私たちの間にはなにもなかったって、私、彼女にちゃんと説明するよ！　あ、それとも黙っておく方がいい？」