独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 蓮斗は親切でしてくれたことなのに、彼が疑われたらどうしよう。青ざめる詩穂を見て、蓮斗が苦笑する。

「そんな心配はいらない」
「あ、すごく理解のある人なんだ」
「違うよ、今は彼女いないんだ」
「え……あ、そうなんだ。よかった~」

 いらぬ誤解をされなくてすむのだと詩穂はホッとした。一方の蓮斗は顔にいたずらっぽい笑みを浮かべる。

「俺に彼女がいなくて安心した?」
「まぁね。ややこしいことにならなくてよかったって意味で」
「なんだ」

 蓮斗が少し肩を落とした。

「それにしても、須藤くんに彼女がいないなんて意外。大学時代はすごくモテてたのに」
「そうでもないよ」
「またまたぁ。いったい何人の女の子を泣かせたことやら」

 詩穂は大げさに両手を広げ、肩をすくめて見せた。

「おいおい、おまえ、絶対に俺のことを誤解してる。俺はそんなプレイボーイじゃない」
「そう? 私の友達が須藤くんに告白して振られたって泣いてたけど」

 蓮斗は右手で額を押さえながら顔をしかめた。

「悪いけど……覚えてない」
「覚えてないくらい振ったんだ」

 蓮斗は大きなため息をついた。
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