独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 弘哉がローテーブルを回って、詩穂の隣に両膝をついた。

「詩穂、いったいなにを言ってるんだ? 俺のことを誰よりも好きだと言ったばかりじゃないか」

 両肩を掴まれ、詩穂は顔を背ける。

「放してください」
「嫌だ」

 弘哉に顎を掴まれ、無理矢理顔を上げさせられた。そのまま唇に彼の唇が押し当てられ、詩穂は目を見開く。

 弘哉のことは、いくら結婚できないと告げられたとしても、まだ好きだ。けれど、こんなことが許されるはずがない。詩穂も彼の婚約者も裏切る行為だ。

 詩穂の心の中に怒りのようなものが生まれる。

「やめてください。放してっ」
「嫌だ。詩穂、俺のそばにいてくれ」

 弘哉に抱きすくめられ、詩穂は振りほどこうと必死で抵抗した。けれど、男性の力には適わない。

「こんなこと、間違ってます……っ」
「好き同士なら間違ってない」

 ラグの上に押し倒され、弘哉の唇が首筋を這う。両手のひらを彼の胸に押し当て、どうにか逃れようとするが、詩穂を抱きしめる彼の両腕にさらに力がこもる。
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