独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「あの頃……ずっと気になってた子がいたんだ。まったく好意を持ってもらえなかったんだけど」
「ええーっ、嘘、そんな珍しい女の子がいたんだ!」

 目をぱちくりさせる詩穂を見て、蓮斗は苦い笑みを浮かべる。

「ああ、本当に珍しい女の子だった。俺を男として意識してくれなかったんだ。何度か一緒に飯食ったりしたけど、ただの友達って感覚で、結局友達以上の関係にはなれなかった」
「へーっ、須藤くんなら、その気になればどんな女の子でも、すぐに落とせそうなのにね」
「そんなわけないだろ」

 蓮斗は顔を背けた。モテる男にもそれなりに悩みがあるようだ。

「恋って難しいよね~。好きでも気持ちが届かなかったり、両想いでも幸せになれなかったり……」

 また弘哉の顔が脳裏に蘇りそうになり、詩穂は慌てて首を左右に振った。

「つらい失恋を乗り切るには新しい恋をするといいって言うけどな」

 蓮斗がボソッと言った。

「ダメダメ、私は恋よりも先に仕事を見つけなくちゃ」

 詩穂は気持ちを切り替えるように言って、ピザトーストにかじりついた。

「昨日もそう言ってたな。職種の希望とかあるのか?」

 蓮斗に訊かれて、詩穂は考えながら答える。
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