独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
「んー……前は総務部だったし、その前は営業事務だったんだよね……。たいした資格もないし、あんまり贅沢なことは考えてない。でも、人のためになにかしてるって思える仕事だったらいいな、とは思う。お客さまのためであれ、社員のためであれね」
「あの手工芸品を売るインターネットサイトも、子育て中で外で働けない女性や高齢者のために、と思って立ち上げたんだったな」
「そうなの。理念には自信を持ってたんだけど」
詩穂は苦笑いをして紅茶を飲んだ。すっきりした香りを思いっきり吸い込んで、ほうっと息を吐く。
「後発の類似企業との競争に負けちゃった」
「……残念だったな」
蓮斗が低い声で言った。詩穂は軽く肩をすくめる。
「もう過去のことだから」
蓮斗が黙ったまま紅茶を飲み、ふたりの間に沈黙が落ちた。詩穂はスクランブルエッグをつつきながら、二重の目を伏せてなにか考えるような表情でピザトーストを食べる蓮斗をじっと見る。
なにか会話を、と思ったとき、彼が顔を上げた。
「あのさ、実は昨日の夜から考えていたんだけど」
「なに?」
「小牧、俺の会社で働かないか?」
「はい?」
「あの手工芸品を売るインターネットサイトも、子育て中で外で働けない女性や高齢者のために、と思って立ち上げたんだったな」
「そうなの。理念には自信を持ってたんだけど」
詩穂は苦笑いをして紅茶を飲んだ。すっきりした香りを思いっきり吸い込んで、ほうっと息を吐く。
「後発の類似企業との競争に負けちゃった」
「……残念だったな」
蓮斗が低い声で言った。詩穂は軽く肩をすくめる。
「もう過去のことだから」
蓮斗が黙ったまま紅茶を飲み、ふたりの間に沈黙が落ちた。詩穂はスクランブルエッグをつつきながら、二重の目を伏せてなにか考えるような表情でピザトーストを食べる蓮斗をじっと見る。
なにか会話を、と思ったとき、彼が顔を上げた。
「あのさ、実は昨日の夜から考えていたんだけど」
「なに?」
「小牧、俺の会社で働かないか?」
「はい?」