独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 詩穂は驚いて目をぱちくりさせたが、蓮斗はいたって真面目な表情だ。

「事務アシスタントの仕事に空きがあるんだ。俺やほかの社員のサポートをしてもらう仕事なんだが、備品の買い出しからリサーチまで、仕事内容は幅広い。文字通りアシスタントって感じで、いろいろお願いすることになるとは思う。柔軟に対応できる人が必要で、事務アシスタントがいないと仕事が回らない。詩穂が俺の……俺たちの仕事を手伝ってくれたら、すごくありがたいし心強い」

 突然の申し出に驚きながらも、詩穂は蓮斗の言葉を頭の中で繰り返した。

 アシスタントということは経営に直接関わったりはしないだろうが、蓮斗の口ぶりからすると、社員を助ける必要な仕事らしい。

 両親や弟妹に仕事を辞めたことを伝えていない今、できるだけ早く再就職先を見つけたい。けれど、その焦りよりも、蓮斗のそばで彼の役に立ちたい、という気持ちが湧き上がってきた。

「ちゃんと求人広告も出してるんだ」

 蓮斗がジャケットのポケットからスマホを出して操作し、詩穂に画面を向けた。蓮斗の会社“株式会社ソムニウム”のウェブサイトが表示されている。求人募集のところを見ると、彼の言葉通り事務アシスタントが募集されていて、月給や休日などの条件が記載されていた。さすがに好調な企業だけあって、願ってもない好条件だ。
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