独占溺愛~クールな社長に求愛されています~
 “須藤社長”だなんて変な感じだが、詩穂は彼に雇われた身だ。

 詩穂の言葉を聞いて、真梨子はホーッと安堵のため息をついた。

「そうだったんだ~。でも、わざわざその話をするってことは、社長、詩穂ちゃんのことをすごく信頼してるんだね。社長に信頼できる女性がいてよかった!」

 そう言ってから、真梨子は詩穂にすり寄った。

「ね、ね、大学生の頃の社長ってどんなだった? 今でこそあんなにおしゃれだけど、実はいかにもコンピューターオタクって感じの瓶底眼鏡をかけた野暮ったい学生だったりして!?」
「いえ、スーツこそ着てませんでしたが、今とほとんど同じでしたよ。それに、態度も大きくて自信家なのも変わってないです。まあ、努力しなくても結果がついてくるんだから、そうなるのも仕方ないかもしれませんが」

 詩穂が言うと、真梨子は「それは違うと思うな」と首を傾げた。

「私、ソムニウムに勤めてまだ半年だけど、社長って案外努力家だと思うよ。オフィスの奥に仮眠室があるんだけど、社長、ときどき泊まってたりするもん。『いつアイデアが思い浮かんでも、すぐに仕事に活かせるようにするためだ』なんて言って。さすがに見つけたら、健康によくないから家に帰るように言って聞かせてるんだけど……私の方が帰る時間が早いから、あまり聞き入れてもらえないんだよね~」
< 53 / 217 >

この作品をシェア

pagetop